海女日記 < 新米海女リッチャン >

都会のOLが海女に転身?!海女修行&漁師町ライフをご紹介します!

海女とウェットスーツ①

 
 
 
こんにちは、リッチャンです。
 
 
 
ウェットスーツの着用が
 
可能となっている
 
三重県鳥羽市の海女。
 
 
 
乱獲防止、資源管理のため
 
ウェットスーツの着用が
 
禁止されている地域が
 
他県ではある中で、
 
私の住む鳥羽市石鏡町は
 
ウェットスーツの種類も所有数も
 
制限なく許可されています。
 
 
 
車で10分ほどの距離にある
 
お隣の国崎(くざき)町では、
 
1件(1家)に1人しか
 
ウェットスーツの着用が
 
許可されていません。
 
つまり、おばあさんと奥さん(お嫁さん)が
 
海女をしている場合、
 
2人のうちどちらかが
 
ウェットスーツを着れない事になります。
 
 
 
先日、お師匠のターコバアに
 
石鏡はいつからウェットスーツが
 
着用可になったのか聞きました。
 
 
 
海の博物館発行の
 
【目で見る 鳥羽・志摩の海女】
※写真は鳥羽水族館HPより拝借
 
 
によれば、
 
1960年頃から海女が
 
ウェットスーツを着始めたそうです。
 
 
 
しかし私の住む石鏡では
 
1971年からウェットスーツ着用が
 
解禁になったそうです。
 
(※2019年3月1日追記: 師匠の記憶違いで、1967年だったかも?という事でした。
また手元の資料【「アワビは増やせるか」野中忠著】によれば、国崎は1964年にウェットスーツが導入されたとあります。)
(※2019年3月3日追記: またまたお師匠、「確認したら昭和44年だったわ」と仰りましたので、1969年がどうやら正しいそうです。)
 
 
それまでも
 
ウェットスーツ生地の『パンツ』を
 
白い磯着の下にこっそり着て
 
海女をしていた方もいたそうです。
 

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導入まで10年の時間が空いたのも
 
やはり資源管理の観点から
 
賛否両論あったのだと言います。
 
 
 
ウェットスーツ導入により
 
予想通りアワビなどの漁獲量が
 
劇的に増え、
 
「このままでは獲り尽くしてしまう」
 
と、誰もが危惧したそうです。
 
 
 
それでもウェットスーツが
 
禁止にならなかったのは
 
「一度着てしまったら、もう脱げない」
 
思ったからだそう。
 
 
 
「冬はもう寒くて寒くて、獲物を見つけても、獲るどころじゃないのよ」
 
「寒くて震えあがってるからね、力が出ないの。海から上がる力もなくて、このままじゃ溺れ死んでしまう、どうしようって。すごく怖かった」
 
とお師匠は言っていました。
 

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「たくさん獲れてお金になるから」
 
「ウェットスーツを着て潜ると楽だから」とか
 
そんな簡単なものではなく、
 
【死の恐怖】
 
から逃れたいという想いから
 
石鏡はウェットスーツの利用を
 
止めなかったようです。
 
 
 
 
ウェットスーツの導入によって
 
安全に漁が出来るようになり、
 
そしてソレと引き換えに
 
資源管理のより困難な未来を
 
石鏡は選択したようです。
 
<続く>