海女日記 < 新米海女リッチャン >

都会のOLが海女に転身?漁師町ライフブログ

海女とウェットスーツ②

 
 
 
こんにちは、リッチャンです。
 
前回の記事の続きです。

 

 

 
 
 
ウェットスーツ導入によって
 
より安全に漁が出来るようになった海女。
 
一方で耐寒性が増し
 
漁獲量は飛躍的に伸び
 
その結果
 
海女が何千年と守り続けてきた
 
資源管理の仕組みが壊れ、
 
真綿で首を絞めるように
 
少しずつゆっくりと
 
生活の糧である海の資源を
 
失っていく事に繋がりました。
 
 
 
そしてそれが
 
海女の後継者が育たなくなった
 
理由の一つとも言われています。
 
 
 
もし今も
 
綿でできた白い磯着を着ていたら?
 
もしかしたら
 
海の中にはアワビがうじゃうじゃ
 
いたかも知れないな、と
 
考えた事があります。
 
 
 
 
ただその代わりに
 
今でも毎年何人もの海女が
 
海難事故で亡くなっていたかも
 
知れません。
 
 
 
 
よく海女さん自身も
 
「海女は命がけの仕事」
 
と仰います。
 
 
 
 
聞いている方としては
 
その「命がけ」の重さと言うか
 
本当に死と隣り合わせで潜っている
 
緊張感や切迫感、恐怖、
 
みたいな物が伝わらないと言うか、
 
(実際ちょっと「盛ってる」でしょ?)
 
くらいにしか思われていない
 
のではないかと思う時があります。
 
 
 
 
海女の海難事故の原因は様々です。
 
私の知っている限りでも、
 
ヒートショックによる心臓発作や脳卒中だったり、
 
海中で何かに体の一部が引っかかり
 
浮上できず溺死したり、
 
海上を走行する船にひかれたり。
 
ウェットスーツとあまり関係のない
 
事故も多いですが、
 
ウェットスーツによって防ぐことができる
 
事故やケガもあります。
 
 
 
 
海女というのは元来、
 
漁村に代々暮らす人々の生業です。
 
つまりほとんどの海女がお互いに
 
遠かれ近かれ親戚だったり
 
そうでなくても全員が顔見知りです。
 
 
 
 
海女さん達はみな
 
親だったり、いとこだったり、
 
幼馴染の友達だったり、
 
そういう身近な人を何人も
 
海で亡くしています。
 
そういう経験を経てなお
 
大切な人の命を奪った海に
 
自分もまた潜っていくのです。
 
 
 
「死」 という物が
 
あまりにも近い、この漁業という世界。
 
 
 
 
私は石鏡で
 
ウェットスーツ着用が不可だったら
 
絶対に海女になっていません。
 
 
 
 
確かに海女は素晴らしい生き方だと思いますが
 
海で死にたいとは思いません。
 
 
 
 
波の高い日に出漁する
 
先輩海女達を家の窓から見て
 
「今日出た所でたいして獲れないだろうに・・・なんて無茶なんだ」
 
と、考えています。
 
口には出しません。
 
でも命の危険を冒してまで
 
たかだか貝の1つや2つが
 
そんなに欲しいのかと思います。
 
安全に操業して欲しいです。
 
彼女たちに何かあったらと考えると
 
恐ろしい。
 
 
 
 
海女の生き方や文化を尊敬し
 
早く一人前になりたいと思っています。
 
でも命を捧げる気はありません。
 
 
 
 
私の場合、海女をしていて
 
まず海の神様に祈るのは
 
「大漁できますように」
 
ではなく、
 
「今日も生きて帰ってこれますように」
 
です。
 
 
 
海女を始める以前、
 
毎晩のように海で溺れ死ぬ
 
夢を見ました。
 
目が覚めてホッとすると同時に、
 
夢の中で息絶える間際叫んだ
 
「死にたくない!」
 
という言葉と記憶は
 
あまりに鮮烈で
 
今でも思い出すだけで
 
身震いがします。
 
 
 
 
漁を終えて
 
海女小屋で談笑する
 
海女の明るさや爽快な笑い声は
 
死と隣り合わせで生活する彼女たちの
 
死の恐怖から解放された
 
心からの安堵と喜びが
 
自然と溢れ出てしまうからではないかと
 
思ったりもします。
 
海女のまじないや魔よけの作法が
 
今でも大切に受け継がれているのも
 
この海という世界が美しくも
 
時に無慈悲で残酷であることを
 
物語っていると思います。
 
 
 
 
すごく「生きている」という事を
 
感じさせてくれるのが
 
良くも悪くも、
 
海女という仕事だなぁと思うのです。
 
 
 
海女という仕事に憧れる人が
 
少なからずいる中で、
 
この「命の危険を伴う仕事」
 
であるという点にまで
 
真剣に思いを巡らす人は
 
多くないように思います。
 
 
 
海女の楽しく自由なライフスタイルが
 
注目されつつある中で、
 
こういう事も一つ
 
考えて頂きたいなと思います。
 
 
 
ウェットスーツ導入の裏話より
 
海女の仕事の危険について
 
本日は書いてみました。
 
 
 
何かの参考になれば幸いですお願い
 
 
 
長々とお付き合い頂き
 
ありがとうございました!