こんにちは、リッチャンです。
突然ですが、
皆さんには憧れの人っていますか?
海女歴3年半の私ですが、そんな私には憧れてやまない
【スーパー海女】
がいます。
一体なにが「スーパー」なのかは追って書きたいと思いますが、もはや彼女は私にとって
神!
もう神そのもの・・・!!
本当にそんな存在。
いつかもっと海女が上達して自信がついた頃に会いたいと切望していた方がいます。
しかしなんと言う運命のいたずら!
こんなまだ鼻たれ小僧の段階でついに憧れの彼女に会う日が来てしまうなんて・・・!
(70歳には見えない肌のハリと艶、ずるい・・・)
お名前は控えさせて頂きますが、地元では有名な方なので分かる人には分かると思います。
主人の知人である彼女にあったのは結婚直後の2015年。
テレビなどでお顔は拝見していたので「うわぁ、本物だ!」と、芸能人にでも会った気分☆
実は最近、密かに鳥羽・志摩地方の海女さん達にインタビューをしており日本語と英語で海女さん達のことを紹介する記事を書いています。
そこで地元鳥羽はツテがいくつかあるので問題ないのですが、(志摩の海女さん、どなたが良いか・・・)と考えていた時に、頭に浮かんだのが、彼女。
(いやしかし、早すぎるだろう!まだ彼女に会うのは)と思いつつ、どうしてもそのアイディアが頭を離れない・・・
なのでお会いするのは今回で2度目。
しかし初めてお目にかかった当時、私は自分が海女になるとも思っておらず、彼女の真のすごさと言うものがあまり良く分かっていませんでした。
スーパー海女のスゴさを語るには正直文字数が足りないのですが、まずはもちろん、抜群の海女スキル。
海女で1日10万円稼ぐのは彼女にとってはごく普通の事。
(私は1日最高2万円、平均で6000円くらいです)
アワビやサザエも普通の海女の何倍も獲る上、モリで魚も突くし、伊勢海老も獲るし、本当に何でも獲ります。
『海のハンター』なんです。
ただそれだけなら【 おかずき 】と呼ばれる「上級海女さん」でイイのですが、彼女はビジネスセンスが抜群で、自分の獲った魚介類を調理して格安で提供する海女小屋レストランを経営しており、料理のお値段や品数を聞くと、原価に手間賃に設備投資など考えても、全然合わないくらい安い。しかもすごいクオリティー高い。
アワビ1個だけでも2000円するのに、アワビ天丼1500円って
え、おかしくない???
漁が終わってクタクタな中、調理をしてお客さんの相手をしてってこのお値段でどうしてやれるんだろう?
私ならこの倍の値段付けても正直やれる自信ありません。
というかそもそも、お客様に毎回確実にアワビ提供できる自信ないわ~・・・・
それだけでなく、海水浴場へ続く広大な駐車場に道路、シャワー室を自費で作り夏の間はそちらでも収入を得ていたり。
更に彼女の凄い所は、何人もの後輩海女を育てていて自分の縄張りもテクニックも惜しみなく教えているという事!!
しかも相手は男あま!!
体力もスタミナも女性より勝る男性に、海女を教えるのです。
縄張り = 隠し金庫の場所
テクニック = 鍵または暗証番号
を教えるって事ですよッ!?
信じられない。
何でそんなことが出来るのか?
簡単です!
自信があるからなんですッ!!
後輩を何人育てようと、自分の縄張りをいくつ人に教えようと、「自分は確実に獲って稼げる」という揺るぎない自信が彼女にはあるんです!!
男あまや海士がいる地域では穏やかでないトラブルや揉め事もあると聞きます。
だから普通、考えられない事なんです。
でも彼女にはそれが出来る。
スーパー海女の話を聞きながら
「レベルが違う。海女としても、人としても・・・」
と、呆然とする私。
しかし同時に
「どうして石鏡にはこういう海女がいないのだろう?」
と疑問が湧きます。
これまでにお会いした海女さん達の中でも飛び抜けて能力が高くそしてそれすら霞むほどの人格者の『スーパー海女』。
これまで会った上級海女、とりわけその地域で「1番」と言われる海女さん達に会って思ったのは、
【トップは別格】
という事。
海女が上手いだけ、じゃない。
人間的にも素晴らしく懐の広さと知性を感じさせてくれます。
元々そういう人間だったから上級海女になれたのか、それともてっぺんに登った人だからそういう徳の高い人間になれたのか。
それは分かりませんが、本当に気持ちの良い方達ばかりです。
海女をしていると、ちょっと難しい人と言いますか、嫌な言い方をする方や意地悪をする方も中にはいます。
でもそういう方たちってどちらかというと海女の技量的には『中』くらいの方だったりします。
だからなのか、自分より上の人をやっかんだり、自分より下の人の邪魔をしたりなんだか中途半端な事をしてしまうようです。
それに比べるとトップの方たちは先を見ているし、全体を見ているので後継者育成にも積極的だし、ノウハウのシェアにも積極的です。
それが地域のため、人のためになる、と本心から思っている事が伝わってきます。
「漁師は魚につけ。そして海女さんはおかずきにつけ」
とスーパー海女は仰いました。
漁師は絶えず移動する魚の群れを追いかけ、そして海女さんは獲物ではなく、一流の海女の側について学べ。ということだそう!
「一流になる方法は一流にしか教えられない」
と、某芸能人が以前番組で言っていましたが、海女も芸を極めた人々。
「なるほどなぁ・・・」と感心しました。
現在の石鏡の海女を見てみると(失礼を承知で書きます!ごめんなさいッ!!)
飛び抜けたトップが不在
だと感じます。
上級海女さんは複数名いますが実力に大差がないため強いリーダーシップを発揮してくれるようなナンバーワンがいないのです。
『鶴の一声』
を発せられるカリスマがいないため、「和」を尊ぶ女性社会。
何がベストなのか、
何をしなくてはいけないのか、
冷静に客観的に判断できなくなり、どうしても「利己的」「保守的」な判断がされがちだと感じます。
「今変えなきゃ手遅れになるのに」
と思いつつ、立場上、手を出せません・・・
スーパー海女の存在が輝いて見えました。