海女日記 < 新米海女リッチャン >

都会のOLが海女に転身?!海女修行&漁師町ライフをご紹介します!

【英語対応】インバウンド専用 リアル海女小屋体験

【英語対応】インバウンド専用 リアル海女小屋体験

 

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こんにちは、

新米海女のリッチャンです!

 

 

さぁて、5回に渡ってお届けしましたブログシリーズ【海女小屋リノベーション】。

本物の海女小屋をわたくしリッチャンが自分で!それも1人で!!

コツコツと修繕をしてようやくボロボロだった海女小屋を使えるようになったわけなのですが、ブログをお読みの皆様の中には

 

「リッチャン、一体これから何を始める気なんだろう・・・?」

 

と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は私がこの海女小屋をどのように今後使っていきたいのかについてシェアさせて頂きたいと思います☆

 

 

そもそもの話

 

まず初めに、私リッチャン、実はTOEICスコア940点の持ち主です。

ちなみに、TOEICはビジネススキルメインの英語力を問うテストで、満点は990点。

満点以上(以上てなに?)は英語を母国語としているもしくは英語ペラペラレベルの方たちで、800点以上が割と普通に英語を話せる人たちのレベルと言われています。

 

高校時代は「英語同好会」なんていうホント真面目~なタイトルの部活に所属し、英語弁論大会なんかにも毎年参加するような、ど真面目学生でした。

と言っても英語を話す環境は周りになかったし、海外旅行にも行ったことなかったので、学校の授業以外はほぼ独学で英語を学び何故かぐんぐん能力を伸ばしていった人間です。

そこから大学は「英文学科」に進学し、在学中はカナダのトロントへワーキングホリデーに行き、大学卒業後は大手企業の海外事業部に就職するという、まぁ絵に描いたような「英語漬け人生」です。

 

ちなみに車内に常備しているCD、30枚くらいありますが、あれ全部英語のリスニングCDです(笑)

ボサノバなどの音楽も好きですが、それよりも英語の場面別会話集とか使えるフレーズ集みたいなものを聞いている方が好きと言うクレイジーぶりです(笑)

要は英語の「音」が大好物な英語オタクなのです。

 

何を言いたいかと言うと、私は英語がめっちゃ好きだし割りと得意なのです。

だから海女としてもこの特技をどうしても活かしたい、この能力で人の役に立ちたい・・・ずっとそう思っていました。

 

ゲストハウスを営みお客様と英語で会話をする機会も多いのですが、まだ足りない。もっと英語をしゃべりたい。もっと英語を聞いていたい。

 

( 海女小屋に海外からのお客様を連れて行きたい )

と思うのは私にとってはごく自然な事でした。

しかし、それは出来ませんでした。やりたくてもできない。

それは非常に難しく課題が多かったのです。

 

海女小屋体験が無理なわけ

 

そもそも「海女小屋」って何のためにあるのか、ご存知ですか?

 

海女は漁に行く際、海女小屋を使います(使わない方もいます)。

ここは荷物置き場であり、休憩所であり、調理場であり、団欒の場でもあります。

 

しかし重要な役割の1つとして、海女小屋は女性たちの更衣室である、という事があります。つまりここでは女性たちがウェットスーツを着たり脱いだりしているわけです。

 

海女小屋に人を呼ぶという事は、「女子更衣室に赤の他人が入ってくる」という事と同義です。そう考えると事の難しさというか、なぜ出来ないのかのイメージが湧きませんか?

 

イメージとしては、とある部活の女子更衣室に、世にも珍しい絵画が飾られていると。

それは更衣室を使っている人しか普段見れないのですが、それはそれは素晴らしい作品だという噂です。

見たい・・・ひと目で良いから実物を見てみたい・・・と、外の人たちは思うわけです。でも更衣室の利用者たちや部活のコーチたちなんかは「ダメだダメだ!」と拒むわけです。

そんなイメージでいて頂いたら良いかな、と思います。

 

ここを忘れていると「本物の海女小屋に行ってみたい」と気軽に言ってくる方がいて、いやいやちょっと待って下さいよ、と。それはちょっと困ります、となるわけです。

 

私くらいの20代~30代の海女だと、知らない男性が来た時なんかは結構恐怖です。

ガイドさんや割と海女の事に詳しい同伴者がいれば

「そろそろ着替えますよね?私たちは向こうへ行って待ってますから、着替えが終わったら声かけてくれますか?」

と気を使ってくれたりするのですが、海女の事を全く知らない人だったりすると、着替えたいのにいつまでたっても小屋の前をうろちょろしていたり、変なタイミングで小屋の扉を開けて入ってきたりして心臓が止まりそうになります。

 

密漁の不安

 

本物の海女小屋を利用し、実際に海女が漁をしている姿を見学してもらおうと思う時、海女が1番嫌がるのが「漁場の分かる写真や動画の撮影」です。

 

海女が海に潜りアワビやナマコなどを獲っているシーンを撮影する際、その背景になにか特徴的な景観が写り込んでいたりすると、良い漁場が他者にバレてしまう危険性があります。

それにより同じ地域の海女仲間(=ライバル)に自分のお気に入りのスポットがバレてしまうのではないかという不安と、テレビやインターネットで情報が拡散され密漁者に漁場が狙われるかもしれないという心配があります。

密漁者は遊びで貝を獲るサーファーやダイバーの他に、バックにヤクザがついている大規模なものまで実に色々いるらしく、摘発は現行犯でなくてはならないため非常にやっかいだと漁師のおじさんに教わりました。

 

これにより海女の世界は外界からはほぼ完全に隠され、守られ、排他的であり、部外者お断り!な雰囲気を漂わせています。

 

インバウンドの波が来た

 

とは言え、「海女に会いたい」と言ってやってくる訪日外国人の数は伸びています。

近隣にある海女小屋体験施設や海女関連の資料館などへの海外からの来場者数は右肩上がりに伸びており、海女の需要は伸びる一方。

 

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出典:平成31年/令和元年 鳥羽市観光統計資料 (平成31年1月1日~令和元年12月31日)

 

SDGsに代表されるように、環境に配慮した持続可能なライフスタイルを世界中が模索している中で、2000年以上の昔から「海」と「人間」が共存してきたライフスタイルである海女。

ものすごく古い歴史を持つ一方で、その考え方やスタイルは今まさに時代の最先端をいく。それが『海女』なんです!

海外、特にヨーロッパからの来訪者の中には海女について非常に興味を持っている方が多く、私がお会いしたお客様は政治家、医者、テレビディレクター、NGOの代表、社会学者などかなり意識の高いお客様が多くいらして下さり、海女がどういった方々に注目されているのかを感じさせます。

 

海水温の上昇などにより、今後わたしたち海女の漁獲量は減っていく一方。

獲れる漁獲物に付加価値を付けて高く売るか、それとも国から補助を受けて保護され生きながらえるか、それとも全く新しい価値を生み出していくか・・・これからの時代、海女は純粋素朴に魚貝類を獲って水揚げするだけでは存続していけなくなりました。

 

そこへ来てこのインバウンドの波。私はこの波に乗りたいと思うんです。

 

海女 × インバウンド

 

国内のお客様に海女を見せると、先に触れた「密漁」の心配がどうしてもあります。

そんなの考えすぎだといくら言ったとしても、密漁者との攻防戦を経験してきた世代の漁師や海女にはそんな可能性が1ミリでもありそうだと思われるだけでもう「ダメだ!」と言われてしまいます。

 

そこでインバウンドなのです。

 

海外からのお客様は高い飛行機代を払って日本に来られるわけです。つまりお金をある程度持っている方たちであると想像できます。

そして彼らは日本に住んでいない。

例え海女の漁場を間近に見たとしても、帰国してまたもう一度日本へ密漁をしに戻ってこようとは考えません。たった一度見ただけで海女がアワビを獲ったポイントを覚えて密漁しに帰って来たらそれは大したものです(笑)

 

そして、ほとんどの方が日本への旅行が『一生に一度』の経験。

絶対に記憶に残る良い思い出を作りたいと思ってやってこられます。

そこへ来て、日本と韓国にしかない伝統的なライフスタイル、海女。

見たいですよ、絶対。私だったら見たいもん!!

 

「え、素潜りで貝を獲るの? しかも全員女性!? 80歳でもバリバリ潜ってる?いやさすがに嘘でしょ! 2000年以上も昔からあるの!? 神話の時代じゃん。 なにそれ信じられない。 このハイテク時代にそんなことありえるの!?」

 

ってなりますもん、普通に。

需要はあります、ただ供給が出来ていないだけ。そこなんです。

 

他地域との差別化

 

そこへ来て、私、へっぽこですが一応「現役海女」です。

しかも英語話せます。結構いけます。

しかも今回【 マイ海女小屋 】をゲットしました。これで他の海女さんへ負担を掛けずに済みます。

 

その代わり料金は高くしようと思っています。

お客様お1人当たり、数万円です(金額はまだシークレット)。

普段は絶対に見ることが出来ない海女の世界、誰も彼もに来て欲しいわけではありません。

品の良い、理解のある良いお客様だけに来て頂けるように予約チャネルもぐっと厳選します。目標は月に5組です。

 

全国的に見ても鳥羽市石鏡町の海女は漁期が長く、出漁日も多いのが特徴。

年間を通して「海女」というコンテンツを提供し続けることが出来るのは確実に強みになると思います。

 

海女と観光のコラボレーションだと久慈が有名ですが、あちらは冬に海女漁がありません。しかし石鏡はある。

 

地域的にも非常に差別化しやすいと思います。

 

みんながハッピーになれる仕組み

 

ここまで聞いて「リッチャン、金儲けする気満々だなー」と思った方、まぁちょっと聴いて下さい。

 

実は夫経由で漁協に以下の提案をしてもらっているんです。

 

■ 海女小屋体験と海女漁見学で得た収益から「手数料」を漁協に支払う

■ 収益のうち3割を石鏡の海女全員に分配する

 

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私が作った海女小屋体験の資料

 

今回の海女小屋プロジェクトで一番大事なのは

【みんながハッピーになること】

 

私が海女小屋に人を連れてくることで海女ってすごいな、いいな、って言うのを海外の方に知ってもらいます。それは純粋に私がやりたいことです。

 

でも私だけ楽しくても意味がない。みんなが喜んでくれなきゃ意味がない。きっと続かない。

 

そこで例えば1回の体験料が1人1万円としますよね。

夫婦で来てくれたら1回2万円です。

そのうちの3割で6000円。これを石鏡にいる約40人の海女さん全員に均等に「協力金」として分配します。「謝礼」になるかな?名目はまだ分かりません。

すると1人当たり1回150円。月に5組なら1年で9000円です。

6組なら1万800円です

年に1万円くらい海女さん達におこずかいをあげられます。

 

これに関して石鏡の海女さん達は特に何もしなくていいです。強いて言えば、その辺でうちのお客様を見つけたらちょっと声をかけてくれたらいいなってくらい。

 

同時進行で体験のガイドラインや注意事項を記した書類も作成中です。こちらも現在、漁協からの確認待ちの状態。

なので、迷惑は極力掛からない形にしつつ、地域にメリットがある。そういう仕組みを作りたいなと考えています。

 

まとめ

 

以上7つのポイントがあり、それであの【海女小屋リノベーション】があったわけなのです。

 

あ、もちろん普通にお客様のいない時も海女小屋は使います。漁のために。

 

新型コロナウイルスの影響で先行き不透明な時世ですが、明けない夜はない、きっとよくなると信じて、今はできうる限りの準備をしています。

 

事態が収束しまた穏やかな日々が戻ってきた暁にはぜひ、ここ石鏡で、「リアル海女小屋体験」スタートさせていきたいと思います。

 

応援ぜひよろしくお願いしますッ!!!