海女日記 < 新米海女リッチャン >

都会のOLが海女に転身?漁師町ライフブログ

海女とSDGs

海女とSDGs

 

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新型コロナウイルスの影響で海女漁と海女小屋のリノベーション以外、ほぼ自宅、遠くても鳥羽市内から出ていない生活を送っているせいか、最近は色々と興味関心のある事を調べたり読めていなかった本を読んだりといったことに時間を使っています。

 

そんな中で特に最近興味があるのが、【観光】【漁業の未来】【ニューテクノロジー】【SDGs】と言ったテーマです。

 

これらを上手く組み合わせて、縮小産業と言われている【漁業】の未来を描けないかな~と、新米漁業者ながらに考えています。

 

漁業の未来

 

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漁獲量の減少、海水温の上昇、海洋汚染、乱獲、密漁、漁業者の高齢化、後継者がいない、漁村の過疎化・・・

 

色々と課題がありますが、身近に感じる問題で一番大きいのは「海で食べていけない」という状況。

漁業からの収入ではリッチな生活ができないので魅力がなく、若い人が入ってこない。親も子供に跡を継いで欲しいなんて言わない。

今までのやり方じゃ変化についていけないと分かっているけど、おじいちゃんおばあちゃんばかりの集団ではイノベーションが起こらないし、思いつく事も何だか的を射ない感じ。

 

イノベーションが起こらないというこの素朴さこそが漁村や漁業者の魅力なのですが、「わしらははあと数年で終わりだから」ってゆっくり町と一緒に消えようとされているおじいちゃんおばあちゃんに会うと、「いやいや困るよ。私たちこれから!私あと40年この海で生計立てていかなきゃいけないんだけど!?」ってなっている、30代の海女がここにいます。

 

むかーしむかしは、山や海に出て獲物をゲットし、その辺の木の実や野草を採って自分や家族など身近な人と分け合って食べていた人間が、バラバラやってたのでは効率が悪い!分担しよう!という事で、

「はい、私は米を作ります」

「私は鶏を飼って卵を用意します」

「私は海に行って魚を獲ってきます」

「じゃあ、私はそれらを集めて料理して人に食べさせます」

・・・という感じで役割分担をしてみんなで支え合って生きていきましょうね、となって出来上がったのが、社会。

 

そんな社会で「食料を生産する」という基礎中の基礎をになっている一次産業。

 

考えてもみて下さい。

一次産業の従事者が全員、ある日突然「もう食料売りません、供給しません。」ってなったらどうですか?もう、超パニックですよね。

東京やニューヨークで何億というお金を稼いでめちゃめちゃいい車に乗ってる人たちが札束持って田舎に押し寄せてきても「あ、売りません、ごめんなさい。」で追い返しちゃう。

もうお金意味ない。高級車意味ない。腕にはめたロレックスも何の腹の足しにもなりません。

私小さい頃から不思議でしょうがなかったんです。

「一次生産者が一番偉いのでしょう?だって食料という一番大事な所を押さえてるんだから。なのになんで生活が苦しいの?」って。

そういうシステムが出来上がってると知った時、なんかすごく腹が立ちました。

 

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最近では「スマート農業」なんて言葉も聞かれ、農業に関しては漁業に比べかなりのお金と技術、それから頭の良い人たちが入ってきている印象です。

人間は食べないと生きていけませんよね、今の所は。未来は分かりませんが。

食料の供給は社会の肝心要なのだと思います。何よりも充実して何よりも優先されるべき産業だと思います。

だから農業と同じように漁業も、人間の生活を支える大事なフィールドとしてもっと人間が持ってる最先端のものが取り入れられるべきなんじゃないかと思います。

 

すっごく楽天的なのですが、そんな思いから私、漁業ってやりようによってはめちゃくちゃブレイクする産業なんじゃないかと思うんです。

 

海女の未来

 

私リッチャン、色々な方のお話を聞いたり本を読んだりする中で、海女が生き残るには4つの方法があると思っています。

 

国や自治体からの保護

無形文化遺産】などに登録され、海女の文化的価値や伝統を守るべく助成金などによりその生業を保護していくやり方です。漁業による収入に頼らずとも収入が得られるので、海女が存続していけます。

 

ただ国や自治体からの補助に依存するため予算が削られた時はピンチですし、助成金を受けるために形だけの海女が増えたり、誰かや何かの支配下に置かれたりすることで海女らしさがなくなってしまったり・・・といったリスクがあります。

 

漁獲量を増やす

獲って売る物が増えれば収入は増えます。

アワビの稚貝放流をしたり、ウニやヒトデなどを駆除したり、漁礁を入れたり。

こういった活動は全て魚や貝を増やすために行っている活動で、その目的は漁獲量を増やすことにあります。

養殖と違って直接的に効果を実感することが難しい草の根運動的な要素が大きいのですが、藁にもすがるような気持ちでやっている所があります。

 

ただ先にも述べた通り、海の環境自体が昔と今とではかなり変わっていて、特に海水温の上昇などは私たちにはどうしようもない事で、かつ魚貝類の成長や行動パターンにものすごく影響してくる要素なので、漁獲量のコントロールはとても難しいと思います。

 

付加価値を付け単価を上げる

今、私たち若手の海女の中で一番ホットな話題がずばりこれ!

漁獲量が半分になっても単価が倍になれば収入は同じです。

 

単価を上げる方法としては、【 ブランディングや【 6次産業化 】などがあります。

 

ブランディングにもいくつかやり方があって、その漁獲物自体をブランド化して有名にする方法と、漁獲物を獲った人や地域をブランド化してそのファンの方に高い値を付けて買ってもらう方法です。

 

個人的には後者の方が今後流行ってくるのかな~と思っていて、「推しメン」ならぬ「推し海女」みたいな感じで、海女さん個人がSNSなどを通じて自分を上手にPRして個別に(もしくはグループ単位で)ファンを獲得し、「あの海女さんが獲ったアワビが食べたい!」という風に消費者と直でやり取りをしていくようになっていくのかな?と想像しています。

 

若さや見た目の良さを売りにすると一過性のブームで終わってしまうので、その海女さんの人となりや生き方、考え方にした人たちがコミュニティーを作り、そのコミュニティーを中心とした交流と漁獲物のやりとりが行われるんじゃないかと思います。

 

6次産業化は獲った魚介類や海藻などを加工して、袋を開けたらすぐに食べられるような商品を開発するなど、獲ってから完成品にするまでをぜーんぶ海女がする事で同じ漁獲物でも単価を上げて販売する、というやり方です。

 

別の価値を提供する

例えば、

【漁業】×【観光】

【漁業】×【教育】

【漁業】×【アート】

【漁業】×【テクノロジー

といったように、今まで混じり合う事のなかった分野と漁業を掛けあわせることによって新しい産業を生む、という事が可能です。

 

【漁業】とひとことに言っても、その魅力や価値は様々。

漁師や海女の知恵や知識、素朴でナチュラルなライフスタイル、言葉や習慣、信仰、機能的で美しい道具、何千年も受け継がれてきた伝統や文化など、なんだか良く分からないけどすごく素敵で美しいものをたくさん持っています。

 

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特に最近の石鏡で面白いなーと思うのは、都市部から移住してきた新米海女さん達がみんな、とてもユニークな特技やストーリーの持ち主だという事です。

 

これまでの海女は『海女になる事が当然だった世代』の方たちでした。

先祖代々、女性は海女になり、親から子へ、子から孫へと受け継がれていく伝統的な職業でありライフスタイルであったものが、ここへ来て『後継者不足』という問題に直面し、このままでは漁協が維持できない!コミュニティーが崩壊する!何とかしなきゃ!ということで初めて、外からの移住者を海女の世界に受け入れるようになったのがここ数年の話。

 

私は自分自身も含めて、彼女たちのような移住者海女のことを【ネオ海女】とこっそり呼んでいますが、このネオ海女の特徴は『海女になる事を自ら選択した』という点にあります。

人によってそのモチベーションもパッションの熱量も違いますが、海女以外の道があったにもかかわらずあえて海女になることを選択した。目の前に敷かれているレールを突如飛び降りて、別のレールに乗ったということです。

私はここに大きなエネルギーと可能性を感じます。

 

海女とSDGs

 

SDGsはご存知の方も多いと思いますが、国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標」のことです。

中身のことが良く分かっていなかったのですが、Youtube中田敦彦さんの動画を見ていたら、これは使える!と確信しました。

 


【未来予測①】2030年の世界

 

海女のことをご存知の方は分かる通り、海女は海と共存する生き方を大前提としています。

そのため、自ら厳しいルールや制限を作り、「 獲れるけど、獲らない 」という、本当に、現代人からするとビックリするような方法で漁をしています。

 

動画でも紹介されている通り、歴史や伝統のある成熟した文化圏の人々にとって非常に有利なのがこのSDGsというニュールール。ニュールールと言っても内容はごく当たり前のことなんですけどね。

 

動画を見ながら

「 これって完全に海女のことじゃん( ゚Д゚) 」

と思ってしまいました。

 

「海女」はそのスタイルこそ非常に素朴で原始的ですが、

◆2000年以上も脈々と受け継がれてきた伝統あるライフスタイル

◆家父長制バリバリの日本という国にあって女性の職業として位置付けられてきた特異性を持つ

◆自然と共存しながら人間の限界を超えた量の漁獲物を獲らない

◆アワビや伊勢海老などと言ったいわゆる超高級食材(=富裕層向けの商品)を扱っている

という、めちゃくちゃ The SDGsなライフスタイルなんです。

なんかもう Ama is SDGs ! って言ってもいい気がする(※無理がある)

 

ちょっと盛って「海女って言うのはね、"最古""最新" のライフスタイルなんだよ」と言っていますが、案外間違っていなかった。

 

 これからの世の中では、地球や環境、人権や命の事を考えられる思いやりのある人が勝ち、利己的で乱暴な事をする人たちは淘汰していきますよ、というのがSDGsの持つメッセージ。

 

ならばやっぱり、海女は生き残れますね。だってそのものずばりだもの。

未来は明るいですね ♪

 

海女の皆さん、漁業者の皆さん、あとこれからこっち側にいらっしゃるネオ海女の皆さん、追い風吹いてますよっ!楽しみですね☆ 頑張りましょうねー☆