こんにちは、リッチャンです。
海女4年目の今年、
ちょっとマイナーチェンジをした
海女の道具の一つに
アンカーロープ
があります。
アンカーロープと言うのは
『たんぽ』という
海女が使う浮きに付けてある
ロープの事で、
人によって長さは違いますが
大体5メートルから15メートル
くらいあります。
ロープの先には
目の大きな網の袋が付いていて
そこに石や重りなどを入れて
海中でアンカー(錨)として
使います。
石が海底に着くと
ロープで繋がれた海上のたんぽは
潮に流されることなく
その場を漂う事になり、
海女が潜っている間
たんぽを一定の場所に
留めておいてくれます。
<今昔海女>
(左)現在の石鏡の海女。たんぽとアンカーで自分の好きな場所へ泳いで行って漁をする
(右)昔の海女。たんぽは使わず桶か船で行く。船の場合は「ふんどう」という15キロくらいの石がロープ(=命綱)の先についていて、それを使って一気に海底に到着し漁をする
ロープが短すぎると
石が海底に着かず浮遊し
たんぽが海流によって流され
何処かへ行ってしまいます。
↑流されたたんぽを追いかけるうち、獲物のいた場所が分からなくなることも
逆にロープが長過ぎると
今度はそのロープが不意に
身体や足に絡まったりして
海の中で身動きが取れなく
なったりします

↑めったにない事ですが、一瞬「死」を想像してゾッとします
大体これまで
5メートルほど潜って
海女をしていましたが、
今年の冬は稽古も兼ねて
7~10メートルくらいの深さまで
潜るようにしています。
ただそうすると
これまで使っていたアンカーロープでは
長さが足りず、
流されたたんぽを追いかけて
無駄に体力を使う日々。
そこで先日、
お世話になっている漁師さんに
ロープを10メートルほど分けて頂き
アンカーロープを
5メートルから10メートルに
長くしました。
「アンカーロープが足りなくて」
と言うと漁師さん、目をまん丸くして
「そんなに深く潜れるようになったのか!」
と驚いてニコニコしていました。
浅い所を潜る海女だったサチバアは
「深く潜ると危ないから、無理せずほどほどにしなさい。でももう一人前に海女さんだね」
と言ってくれました。
深い所を潜るのは
とてもドキドキします。
今まで行った事のない
ポイントまで行くと
何だか心細いような
不安な心持ちがします。
足元を見やると
とてつもなく海底が
遠くに感じられます。
でも、アンカーロープの先が
海底に着いてるのを見ると
少なくとも水深は
10メートル以下だと分かるので
アンカー石がプカプカ浮いている
不安定な状態に比べると
何となくでも距離も分かって
安心します。
いざという時は
このロープを伝って浮上すれば
海の上に出られると思うのも
大きいのかもしれません。
海中で鼓膜が破れて
目がクルクルと回り
海底と海面が分からなくなって
泳いでも泳いでも浮上できず
あわや溺死しかけた海女さんの話を
聞いた事があるので、
「いざその時は、このロープが頼りだ」
と思っています。
当時とは
海女の装備もやり方も違い
そんな事故はめったにありませんが、
【海の中は何が起こるか分からない】
と海女や漁師から言われ
自身も「本当にその通りだなぁ」
と感じています。
長くなったアンカーロープ、
その分増したリスクと漁獲量。
調子に乗らず
日々、よく注意して
海女漁に勤しみたいと思います!!