いつもお世話になっている
漁師の親方の所の網立小屋。
働いた後の昼は
いつもサチバアの作った
「みみそ」を食べています。
そんな網立ですが、
しばらくサチバアの加減が
悪かった事もあり
ついにワタクシ、リッチャン、
みみそ作りの任を
仰せつかりました
代々受け継がれた
家の味を引き継ぐ大事なお役目。
大出世ですッ!(笑)
それに伴い
『若婆(わかばあ)』
の称号をGET致しましたッッ!!
凄いでしょうッ!
齢29にして、もう「ばあ」ですよッ!!(笑)
石鏡の網立では昔から
何世代もの女性が
ひと所で働いていたので
若い順に言うと多分
「嫁さん(母さん)」→「おばさん」→「若婆」→「大婆(おおばあ)」
みたいな呼び方で
女性達を
区別をしていたようです
大体みんな名前を呼ばずに
屋号で呼び合うから、
「どこどこのばあ」
と言って相手を呼びます。
故に私は「サチバア」と区別するために
「○○(屋号)げの若婆」
と呼ばれるに至ったと、
こういう訳なのです。
サチバアにみみその作り方を習って
入れるお魚や調味料の加減を覚え、
ようやく「上等や!」の一言が貰えたので
若婆としてしばらく
腕をふるっておりました
ついでに若婆は
網バラキの合間にある「一服(=休憩)」の
段取りをしたり、
さながら網立の若女将のような感じで
振る舞っておりました。
ところが。
サチバアの仕事を
ひとつ奪ってしまったせいか、
なんだかばあちゃんの「ボケ」が
酷くなってきたのではないかと
夫が言い出しました
元々うっかり物忘れが多かった
サチバアでしたが、
確かにさっき言った話を
また始めからしゃべりだしたり・・・
様子がおかしいような・・・・・
石鏡の人はとても働き者ですが
足を骨折して働けなくなったり
海女を引退してしまったりすると
とたんにボケてしまう人が
多い気がします
これはいけない!と
せっかく引き継いだ
「みみそ作り」のお仕事でしたが
早々にサチバアに
お戻しすることにしました
ばあちゃんは
「なんなぁ~。もう作ってくれないのか」と
残念そうでしたが、
これも愛のムチだよ、サチバアッ
幸いにも体の調子も良くなってきたらしく
また元のように元気にみみそを作ったり
網きよい(=破れた網の修繕)も
こなしてくれています。
せっかく覚えたみみそ作りと
『若婆』の称号ですが、
しばらくは保留となりました。
食べられるうちは
やっぱりサチバアのみみそを食べたいと
思います
ばーちゃんには
まだまだ元気で
長生きして貰わないとだからねー