海女日記 < 新米海女リッチャン >

都会のOLが海女に転身?!海女修行&漁師町ライフをご紹介します!

海の神様へのご挨拶 〜海女の日課〜

こんにちは、新米海女のリッチャンです!

 

今回は私が海女漁に行く時にやっている、あるルーティーン・ワークについてご紹介しようと思います。

 

過去にもブログで書いたように、

 

私は結構信心深い人間なようで、海の神様(神宮さん)とか、迷信とか、まじないとか、魔物とか、そういう物を気にします。

 

海女の先輩たちやお師匠に教わった海女の習慣は割と真面目に従いますし、ちょっとでも違和感を感じたら漁を切り上げてしまうほど。

 

そんな訳で、海女に行く時は必ずやる『決まり事』がいくつかあったりします。

 

海での危険な仕事を支える、「心の支え」とでも言いましょうか。

 

これは海女の常識とかそういうのは関係ない、リッチャンだけの決まり事と思って頂けると幸いです(*⁰▿⁰*)

 

 

 

青峰山の一代守り

 

以前、こちらのブログに書いた事もある「一代守り」

 

一度どこかで無くしてしまい、2個目の一代守りを今は身につけています。

 

持ち主の身に危険が迫った時は身代わりになってくれると言うこのお守り。

海女に行く際は必ず身につけていきます。

 

と言ってもよく付け忘れるので、海女小屋についてから「しまった!」という事が多々あります(笑)

 

毎日身に付けておけばいいのですが、寝ている時に首に紐が巻き付いて「うえっ」となることがあるので、普段は外しています。だからいざという時に付け忘れるんですが・・・

 

青峰山の護摩の灰

 

海女小屋でウエットスーツを着る少し前になると、青峰山正福寺で頂いた護摩の灰を額に付けます。

 

この時に

「大漁満足、豆息災。本日も無事に漁が出来ますようお守り下さい」

と心の中で呟きます。お師匠は何やら念仏の一節を口ずさんでいるようでした。

 

額に灰を付ける行為について、インドなどで同じ箇所に赤い印を付ける風習「ティーカ」と言うものがあると聞き、こちらも魔除けの意味があると言われています。

 

眉間の少し上に当たるこの場所は第6チャクラがあり「第三の目」があると言われています。

第三の目とは、目には見えない世界、スピリチュアルな世界の物事を知覚する直感力の事を言うそうです。

 

海女にとって海は死と隣り合わせの世界、魔物の住む世界でもあり、ここに神聖な護摩の灰を擦り付ける行為に何か深い意味があるような気がしている今日この頃です。

 

入水時にカギノミでコツコツ

 

海に入ったらまず、カギノミを手に取りタンポ(浮き)をコツコツと数回叩きます。

 

三重県以外の地域でもこの風習はあり、海の神様へのご挨拶、魔除けの意味があるなどと言われています。

 

回数は人により違うのですが、私は何となく5回コツコツとタンポを叩きます。

この時に一緒に「ネズミ鳴き」と言われる音を出すこともあります。

唇をすぼめて「チュッチュッ」と音を出します。これも魔除けの意味があるらしいです。

 

神宮さんへご挨拶

 

カギノミでタンポを叩いてすぐに、声に出して「よろしくお願いします」といつも言います。これは誰に教わったわけでもない、最近になって自然にやるようになった習慣です。

 

言いながら左右をキョロキョロと見やって、海の神様(神宮さん)へご挨拶をするようにしています。 

 

石鏡は1日に2回漁があるので、それぞれの入水時にこれをやっています。

 

都度のお礼

 

特に夏のアワビ漁の時期は、アワビを獲るたびに「ありがとうございます!」とお礼を言います。「ありがとうございます、頂戴します!」という事もあります。

 

基本的には海の神様に対してお礼を言いますが、最近では石鏡某所に眠っていると言う、海難事故で亡くなられた方々の霊魂に対してもお礼を言うようにしています。

 

なので、海(沖の方)に向かって1回、陸(山の方)に向かって1回、合計2回お礼を言っています。

 

なんでしょう、やっぱりアワビって特別なんですよ。

値段が高いとか美味しいとかもあるんですが、なんか神々しいです。

学習能力が高いし、ドーンとしててカッコいい生き物ですよね。

なので本当に「獲った」と言うよりは「頂いた」という感じ。

 

最近は例えばアワビを10枚以上獲れたら、その中で1番小さいものは海に戻すようにしています。

小さいと言っても、もちろん規定サイズの10.6センチ以上の物ですが、私の中でリミッターがあるみたいで、「今日はこれで充分!」と思ったらそれ以上は獲らないようにしています。

 

ただの自己満足ですけど。

たくさん獲れたら嬉しいけど、その分なんだか罪悪感があるんです。命を頂いてるって、本当に年々強く感じます。

 

難しいですが、そんな感じです。

 

まとめ

 

これをやるから運が良いとかは無いのですが、信心深い海女の師匠(=ターコバア)に育てられたせいか私もだいぶとスピリチュアルな海女になりました。

 

要は本人の気の持ちようなので、今この時代に風習や儀式をガチガチにやる必要もないのかも知れませんが、本当に「あっ」と思ったら命の危険が迫っている様な仕事なので、何か自分の力の及ばない世界にも気を配ってみたいのかもしれませんね。

 

チキンハートゆえの信心深さです。

 

という訳で、リッチャンの海女のルーティーンでございました。

 

f:id:ama-diary:20200826081923j:plain

Photo by Brian Millar