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本日の方言:「ごうわく」※正しくは「ごーわく」と表記するそう。訂正!
使用エリア:「伊勢志摩地方」
意味:「腹が立つ」
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「ごうわく」はたぶん、「業(が)沸く」。
「業を煮やす」「業が沸く」という表現自体は、鳥羽や伊勢志摩地方以外にも使われている言葉だそうですが、【文語】と私は理解していました。
(文語=主に文章で使われる言葉。口語=主に会話で使われる言葉)
ところが鳥羽では「ごうわくワー!」と、ごくごく普通に、日常会話的にこのワードが出てきます。これには初めとても驚きました。「ごうわく」って、なあに?って。
業が沸く、という言葉自体は「(なんとなく)イラッ」とか「カチンとくる」ような怒りいうよりは、ムカムカムカ―ッとした怒り。「あぁ、思い出すだけで腹が立つ!」という感覚。
怒りの原因になったその【瞬間】というよりは、【時間が経つにつれ徐々に大きく強くなる不快感】や【時間が経ってもなかなか収まらない怒り】のようで、みなさん使う際は「ごうわいた!」と過去形で使われることの方が多いように感じます。
「怒る」という表現には実に様々な物があり、一般的に使われる angry 以外にも、flip out 「キレる」、lose one's temper「カッとなる」などがあります。私は若者言葉やスラングは苦手なので詳しくないのですが、知っている言葉で「ごうわく」を英語にするならば、
・Get mad [ ゲット マッド ]
が丁度いいのではないかと考えています。
I was angry.(私は腹が立った)と言うよりも I got mad. と言う方が感情的にも強い表現で、いかにも頭に血が上ったような状態をイメージできます。そしてこちらも「ごうわく」とよく似ていて、got mad と過去形で使われる事の方が多い表現です。
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【例文】
「きんのヒジキ終わってウチ帰ったら、おらげの父さん、風呂も焚かんと居間でテレビ見てころけとったの。まぁ、ほんまにごうわいたわ!」
(昨日ヒジキ漁が終わって家に帰ったら、うちの夫、風呂も沸かしてくれていなくてリビングでテレビ見てごろごろしてたのよ。本当に腹が立ったわ!)